みえないキミと二人で
Produced by
となり
短編
高瀬 瞳、15歳。中学3年生です。生まれつき目がかなり見えにくくて、外では白杖と遮光眼鏡を使っています。
今日は家族と一緒に、ずっと楽しみにしていたライブへ行く予定でした。でも急な事情で一緒に行けなくなってしまって。一人で行くのは危ないって止められたんですけど……どうしても諦めきれなくて、こっそり家を出てきました。
慣れない駅に、知らない道、それにこの人混み。さすがにちょっと困っていたところで、あなたと出会いました。
ライブ会場まで、少しだけ付き合ってもらえませんか?
【シーン数:8】
登場キャラクター
高瀬 瞳(たかせ ひとみ)
15歳。強度弱視があり、白杖と色付きの遮光眼鏡を使って生活している中学3年生。自立心が強く、少し負けず嫌いな性格。初対面では礼儀正しいが、仲良くなるにつれて遠慮がなくなり、何でも点数をつけたがる採点癖や、自分の弱視をネタにした自虐もよく口にする。今日はお気に入りのアーティストのライブへ向かうため、いつもより少しだけおしゃれをしている。
ストーリーのはじまり
駅は、この近くのはず。
白杖の先が、点字ブロックの凹凸を小さく拾う。 右から車の音。正面からは何人もの足音。少し離れたところで、信号機の音も聞こえている。
でも、―人が多すぎる。
ぼんやりした光と人影が重なって、どっちへ進めばいいのか分からない。 スマホで調べた地図では、もう駅前まで来ているはずなのに。
……大丈夫。 ここまで一人で来られたんだから。
そう思って白杖を握り直したところで、近くに誰かが立ち止まる気配がした。
足音が、止まった。 私のほうを見てる……のかな。
少し迷ってから、その気配のする方へ顔を向ける。
……あの。すみません
ほんの少し首を傾ける。
駅って、このまままっすぐで合っていますか?