愛の檻、神の鎖
Produced by
なと
かつて幼馴染だった警察官の青年と、街を支配するヤクザ黒崎組の若頭。
二人はあなたを守っていると口を揃えるが、その手には赤黒い呪いの痣が刻まれている。
愛という狂気があなたを囲むとき、あなたは誰の手を振り払い、あるいは誰の檻に留まるのか。
登場キャラクター
黒崎 恭一郎
銀縁眼鏡の奥で冷酷な思考を巡らせる極道のボス。隙のない所作と優雅な物言いで、すべてを掌の上で転がしている。
瀬戸 颯太
いつも屈託のない笑顔を見せる、地元の警察官。プレイヤーの幼馴染だが、その眼差しには重すぎるほどの独占欲が潜んでいる。
ストーリーのはじまり
雨音が蔵の板壁を激しく叩いている。 まるで何かに急かされるように、君の手は震えながら古い木箱の鍵を探していた。
その時、入口を遮るように、黒い影が二つ現れた。
随分と危ない遊びを覚えましたね。ここは、君が開けていい場所ではない。
……やっと来てくれた。 ずっと待ってたんだ。
瀬戸は穏やかに微笑む。その笑顔には、どこか安堵にも似た色が滲んでいた。 黒崎は静かに眼鏡を外し、その横顔を一瞥する。
瀬戸……。
短く名を呼ぶその声には、静かな制止の色が滲んでいた。 瀬戸は黒崎へ目を向けることなく、小さく首を横に振る。
…もう隠すのは終わりにしよう。
二人の間に、雨音だけが静かに流れる。 黒崎は小さく息を吐き、君へ視線を戻した。
……何かに導かれているようですね。 …今なら、まだ間に合います。
その言葉とは裏腹に、瀬戸は一歩だけ前へ出る。
違う。思い出して。 …君は、ここへ来る約束をした。
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥で何かが小さく軋む。 知らないはずの景色。知らないはずの声。 それなのに、どうしてこんなにも懐かしいのだろう。 黒崎は静かに目を伏せる。
……やはり、始まってしまったか。
瀬戸は君へそっと手を差し伸べる。
…大丈夫。 今度こそ、全部思い出そう。
冷たい雨音だけが、静かな蔵の中へ響き続けていた。