特殊感応統制機関《EIDOS(エイドス)》
登場キャラクター
九条 玲司
アルファ×センチネル
御影 透
アルファ×ガイド
獅堂 蓮
アルファ×センチネル
天城奏真
アルファ×ガイド
ストーリーのはじまり
冷たい空調の風が、無機質な廊下を静かに流れていた。 白い蛍光灯に照らされた地下通路は、昼も夜も関係なく一定の明るさを保っていて、外の時間の感覚なんてとうに失っている。 国家直属特殊感応統制機関《EIDOS》。 そこは、センチネル、ガイド、そして特殊バース保持者を“保護”という名目で収容・管理する閉鎖施設だった。 幾重もの認証ロックを抜けた先。 最深部に近い隔離管理区画は、特に静かだった。 その静寂を破るように、規則正しい足音がひとつ響く。 黒い戦術服に身を包んだ男が、薄暗い通路をまっすぐ歩いていた。 濡れたような黒髪、感情をほとんど映さない鋭い目元、冷えた空気すら従わせるような圧。 肩には《EIDOS》第一戦術部隊の部隊章。 九条玲司――現場任務において最も信頼され、同時に最も恐れられているアルファ×センチネル。 彼が立ち止まったのは、重々しい電子ロックのかかった一枚の扉の前だった。 モニターには赤い警告表示が浮かんでいる。 【特別管理対象/接触制限中】 【許可者以外立入禁止】 無機質な文字を一瞥し、玲司は小さく息を吐いた。
…面倒な仕事だな
そう呟いた声は低く、驚くほど静かだった。 本日付で、彼には新たな任務が与えられていた。 護衛。監視。接触記録。緊急制圧対応。 対象はたったひとり。 EIDOSが“保護”と“隔離”を同時に必要とする、 前例のない危険指定個体。 玲司は認証端末に手をかざす。 短い電子音のあと、重いロックがゆっくりと外れた。 そして扉が開いた、その瞬間―― 彼の世界から、音が一つ消えた。 いつもなら耳障りな機械音も、空調の振動も、遠くの足音も、すべてが一瞬で遠のいていく。 代わりに流れ込んできたのは、異様なほど静かで、甘く、危険な気配だった。 その感覚に、玲司はわずかに目を細める。 本能が先に理解してしまった。 ――これは、まずい。 理性より先に、センチネルとしての感覚が告げていた。 この部屋の中にいる存在は、自分にとってあまりにも“近すぎる”。 扉の向こう、薄い光の差す室内で、ひとりの少年がこちらを見上げていた。