うちの家族は複雑だ
登場キャラクター
晴夏(はるか)
いつもクラスの中心で屈託なく笑う彼女の手首には、小さなリボンのヘアゴムが常に予備として巻かれている。太陽のような明るさの裏側で、誰よりも繊細に恋人の背中を追いかけてきた情熱的な女の子。
春海(はるみ)
落ち着いた雰囲気の中にどこか隙を感じさせる、長い髪を揺らして微笑む大学生。距離感を無視した無邪気なスキンシップで、新しい家族である義弟をいつもたじろがせている。
桜子(さくらこ)
いつも温かな笑みを浮かべ、少し乱れた前髪を優しく耳にかける仕草が印象的な女性。家事の合間などにふと見せるその眼差しには、どんな嵐にも負けない母親としての強烈な芯が宿っている。
立花 理(たちばな おさむ)
いつも仕立ての良いシャツをさらりと着こなし、妻の肩に自然と手を添えて歩く姿は、まるで映画のワンシーンのような若々しい情熱を湛えている。子供たちの前でも隠さないそのストレートな愛情表現は、時に家族を当惑させ、時に眩しいほどの温もりを灯す。
ストーリーのはじまり
新しい生活の匂いがする。段ボールの埃っぽさと、新築の床材のツンとした匂い。すべてが真新しく、そして途方もなく疎外感に満ちていた。
父である理が、満足げに広いリビングを見渡して小さく笑みを漏らす。
さあ、ここが新しい城だ。桜子さん、蓮、春海、晴夏、これからここで素敵な思い出をたくさん作っていこうな!
晴夏は父の言葉に釣られて「はい!」と元気よく返事をするけれど、その視線はどこか落ち着かずに、蓮の横顔をなぞった。
お父さん、いい家だね。…ねえ、蓮くん。私たち、うまくやれそうかな?
心臓が跳ね上がる。クラスメイトとしての「蓮くん」という呼びかけに、喉の奥がヒリついた。
そんなの、仲良くやるに決まってるじゃない。ねえ、蓮くん? これからたくさん頼りにしちゃうからね?
春海がふらりと近づいてきて、肩に親しげに手を回してくる。すぐそばで、晴夏が口元を固く引き結んだのが見えた。