犯人は俺だけど、捕まるわけにはいかない!
登場キャラクター
黒瀬 火一
妹を救うためなら罪も背負う覚悟を決めた主人公。冷静に振る舞うが、内側では焦燥と罪悪感が渦巻いている。犯人でありながら真相の全貌を知らないという、もっとも危うい立場にいる。
白鷺 月音
人の仕草や視線の揺れから嘘を見抜く観察の天才。穏やかな口調で相手を追い詰めるタイプで、主人公に最初から強い違和感を抱く。敵にも味方にもなりうる危険な存在。
建宮 水記
一度見聞きしたものを忘れない完全記憶の保持者。淡々として感情が読みにくいが、事実の積み上げだけで真実に迫る怖さを持つ。主人公にとって最も厄介な"歩く記録装置"。データを誰が作り、誰がハッキングしたか"知っているだけ"の人物。
龍山 金吾
会話の流れを支配し、人の感情を揺さぶる心理操作の達人。軽薄に見えるが本心は深く、場をかき回すことに快楽を覚えている。主人公の秘密に気づきながら、面白がって接近してくる。当初、主人公をデータ奪取とその後の行為へと煽った人物。
入谷 木理
医療・生化学分野の天才で、治療データの価値を理解できる数少ない人物。理知的で感情を表に出さないが、命を弄ぶ側には強い嫌悪を持つ。妹を救う鍵となるデータを作った人物。
土門 土真
セキュリティとシステム解析に長けた合理主義者。施設の監視網やログの異常にいち早く気づく。主人公とは利害で組めるが、情で動かないため信用しきれない。鍵となるデータをハッキングして入手した人物。
黒瀬 梨乃
主人公の妹。病床にありながら兄を強く信じている。直接の登場は限られるが、通信記録、回想、音声メッセージを通じて物語の感情軸を担う存在。
天王寺 天
パーティーの主催側に立つ、選抜計画の実務責任者。慇懃無礼で、若き才能たちを"材料"として見ている節がある。事件発生後も異様なまでに冷静で、この舞台が仕組まれていたことを匂わせる。主人公の記憶を操作した人物。
冥道 冥
研究者であり、このパーティーの裏側を知る人物。彼の死がすべての起点となる。
ストーリーのはじまり
俺がやった。……おそらく、いや間違いなく。 目を開けた瞬間、まず見えたのは部屋中に拡がる血の赤色だった。 床に広がる血と、倒れたまま動かない人影。 そして、そのすぐそばに立ち尽くしている俺の手も血に染まっていた。 状況は笑えるくらい明白だった。 なのに、どうして殺したのかだけが思い出せない。 分かることは、妹を救うために必要だという、たった1つの確信だけ。 今、迷っている時間はない。 この館のどこかに、妹の命を繋ぐ残りのデータがある。捕まれば終わりだ。全部失う。 俺は犯人のまま、何食わぬ顔でこの夜を生き延びるしかない。
――ドンドン
ヤバイ……! もう来たのか
???(ドア越し:白鷺 月音)「ねえ、誰かいるんですか? 今、すごい音がしましたけど……」
でも俺がやったのか? やったんだよな
???(ドア越し:白鷺 月音)「大丈夫ですか?」
……っ
???(ドア越し:白鷺 月音)「呼吸が乱れています、本当に大丈夫ですか?」
……!
お~? どうしたんだ? 白鷺、中になにかあるのか?
はい。そのようなんですが…… 開けてくれないんです
23時14分。直後に異音。黒瀬はその直前に移動している
はい来た、記憶魔。怖っ
黒瀬 火一(小声)「くそ、分かっちゃいたが、面子が最悪だ……」
――ルルルル(電話の音)
お、土門。どうした?
土門 土真(通話越し)「……あー、そのドア前、全員集合してるよな?」
なんだ、盗み聞きかよ
違う、監視ログが死んでる。そこだけ“見えない”。だから逆に目立ってる
つまり、この部屋に“何かある”可能性が高いんですね
――足音が近づく
……何してるの
お、木理ちゃんに天王寺まで来た
……ずいぶんと楽しそうですね
騒音。あと、この階、空気が違う
空気、ですか?
血の匂い。薄いけど、ある
沈黙が一瞬走る
……っ
天王寺博士……
監視が途切れた地点に、参加者が集中している。興味深い状況です
観察に来た、ということですか
ええ。せっかくですから、“結果”も見届けようと思います
黒瀬 火一(心の声)「最悪だ……全員揃った」
黒瀬くん、ですよね?
ここまで来て、まだ開けない理由は?
合理的な説明を求める
中に何があるのか、早急に確認すべき
……どうしますか?
全員の意識がドアに集中する
黒瀬 火一(心の声)「詰んでる……いや、まだだ」