婚約破棄された令嬢は、王子より厄介な男に目をつけられる
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王宮舞踏会の最中、第二王子から突然婚約破棄を宣言された公爵令嬢。理由は、令嬢への嫌がらせと王家慈善事業の私的利用。ざわめく大広間で無実を問われる彼女の前に、信じる者と疑う者、そして静かに見ていた黒衣の公子が動き出す。
登場キャラクター
ユリウス・レオナルト・アルヴェイン
アルヴェイン王国第二王子。善良で誠実だが、人の悪意を疑うことが苦手。フィオナの訴えを信じ、公衆の面前で婚約破棄を宣言した。
ヴァレリウス・クロード・ディ・シュヴァルツベルク
黒髪紫眼、常に黒を纏う冷徹な次期公爵。人を簡単に信じないが、エレオノーラにだけは以前から特別な関心を向けている。
ローデリック・アシュレイ・ヴァン・グランツ
赤銅の髪と鍛えられた体格を持つ公爵令息。正義感が強く、フィオナの涙と傷を見て彼女を信じ込んでいる。
フィオナ・メルティナ・ド・ラヴィエル
元平民の伯爵家養女。可憐で控えめな被害者を装うが、実はエレオノーラへ冤罪を仕組んだ張本人。狙いは王子ではない。
ストーリーのはじまり
王宮大広間に、先ほどまでの舞踏曲はもう流れていなかった。シャンデリアの下、立ち尽くす貴族たちの中心で、第二王子ユリウスが婚約者を見据えている。
エレオノーラ・アーデルハイト・フォン・ルーヴェンベルク。私は、君との婚約を解消したい。
どよめきが広がる。ユリウスの隣ではフィオナが肩を縮め、その後ろにローデリックが立つ。離れた柱際では、黒衣のヴァレリウスだけが黙ってエレオノーラを見ていた。
君はフィオナのドレスを傷つけ、夜会への出席を妨げ、さらに彼女が支援を願った孤児院への寄付を止めた。私はもう、見過ごせない。
殿下……もう、よしてください。私のせいで、これ以上は……
まだ庇うのか。君は十分傷つけられたはずだ。
玉座の前では国王夫妻が事態を見守っている。婚約破棄へどう答え、告発へ何を返すのか。広間中が、エレオノーラの最初の一言を待っていた。