帰れない人形村

帰れない人形村

20073
Produced by佐藤 裕也
ホラーサスペンス一度入ったら出られない村増え続ける人間そっくりの人形
親との確執、そして学校でのいじめ。 居場所を失った主人公は、寮付きの高校を求めて山奥の村へと辿り着く。 そこは驚くほど優しい場所だった。 誰も傷つけず、誰も拒絶しない、理想の村。 その村の学校に通う少女と出会い、惹かれ、主人公は入学を決める。 こうして始まった新しい生活は、穏やかで、どこまでも心地よかった。 一か月が過ぎ、ゴールデンウィークが来るまでは。 村の外へ出ようとした主人公は、友人たちに強く止められる。 そのとき初めて、違和感あるルールに気づく。 ・夜十時以降の外出禁止 ・村の行事には必ず参加 ・人形に出会ったら、必ず手を合わせること そして誰も、いなくなった人間の話をしない。 ある日、一人の少女が学校に来なくなる。 だが誰も気にしない。 ただ人形が一つ増えていた。 一つ、また一つと増えていく人形。 その光景を前にしながら、主人公は気づき始める。 自分の中にも、この村の当たり前が入り込んでいることに。 主人公は真実を探りながら、村からの脱出を試みる。 だがこの村からは、決して出ることができない。 道は同じ場所に戻り、電車は来ず、外部との連絡は途絶える。 逃げようとするほど、村は優しく、そして確実に絡みついてくる。 主人公はこの村から逃げ出せるのか。それとも、村の一員と成り果ててしまうのか。 日本的因習が生む、逃げ場のないホラーサスペンス。

登場キャラクター

久世 直哉(あなた)

久世 直哉(あなた)

居場所を失い村へ来た少年。 最初は救われるが、次第に違和感に気づく。

久世つむぎ

久世つむぎ

主人公が村で出会う少女のひとり。物静かで柔らかな雰囲気を持ち、どこか現実感の薄い存在。人形に対して特別な感情を抱いており、村の風習や行事にも自然に溶け込んでいる。言葉数は多くないが、その一言一言には不思議な説得力があり、主人公の思考や感情に静かに影響を与えていく。優しく、穏やかで、決して拒絶しない。だがその在り方こそが、村という場所の本質を最も強く体現している。

朝霧 さな

朝霧 さな

明るく人懐っこい性格で、誰とでもすぐに打ち解ける同級生。軽いノリと親しみやすさで場の空気を和らげ、自然と人を安心させるムードメーカー的存在。「大丈夫だよ」と笑って言えるタイプで、細かいことを気にせず、今この瞬間の心地よさを何より優先する。そのため、村の違和感や不自然さにも気づかないのではなく、気にしないことで受け入れている。外に出ようとする人間に対しても、強く止めるわけではない。ただ優しく、「ここにいれば困らないよ」と囁くその言葉に悪意は一切なく、むしろ純粋な善意から来ている。だからこそ、その説得は自然で、拒みにくく、じわじわと相手の選択を変えていく。

三峰 とうか

三峰 とうか

無口で観察的な同級生。村の空気に馴染みながらも、どこか一歩引いた位置から全体を見ている存在。村から出られないことや、人がいなくなる現象に気づいている可能性があるが、それを明確に語ることはない。「知っているが、語らない」という態度を取り続けることで、自分の均衡を保っている。主人公に対しても干渉は少ないが、ときおり核心に触れる言葉を落とす。助けているようで、決して救いにはならない。静かに現実を突きつける存在。

藤堂 悠真

藤堂 悠真

理性的で現実的な思考を持つ同級生。最初は主人公と同じように村の違和感に気づく側に立つが、やがて「この村ではそれが普通だ」と受け入れていく。理解しようとするほどに、合理的に見せかけた結論へとたどり着き、最終的には出ないほうがいいという判断に至る。感情ではなく理屈で納得しようとするため、説得力がある。主人公を心配し、守ろうとしているはずなのに、その言葉は結果的に村に留めるための説得へと変わっていく。最も現実的で、最も逃げ道を潰してくる存在。

ストーリーのはじまり

人は、居場所を失うと、どこへ行くのだろう。 帰る場所がなくなったとき、人は、優しさを求める。 俺も、そうだった。 逃げるようにして、この村に来た。 親とも、学校とも、うまくいかなかった。 もう、どこにも居場所がなかった。 だから、ここを見つけたとき、思ったんだ。 ――ようやく、終わったって。 誰も否定しない。誰も責めない。ただ、受け入れてくれる。 そんな場所が、本当にあった。 最初は、ただそれだけだった。 違和感なんて、なかった。 ただ少し、静かすぎると思ったくらいで。 ただ少し、人の数が少ないと思ったくらいで。 ただ少し、みんなが同じ方向を見ている気がしたくらいで。……それだけだった。 最初は気づいたのは、一か月後だった。 「ねえ、外に出るの?」 その一言だった。 たったそれだけの言葉が重く響いた。 そして、その日を境に俺は知ることになる。 この村が、どこにも繋がっていないことを。

久世つむぎ
久世つむぎ

……ここに来たの?

久世 直哉(あなた)
久世 直哉(あなた)

ああ……寮のある学校を探してて

久世つむぎ
久世つむぎ

そっか

久世つむぎ
久世つむぎ

ここ、いいところだよ

久世つむぎ
久世つむぎ

みんなのんびりして、優しいひとばかりで

久世 直哉(あなた)
久世 直哉(あなた)

……そう見える

久世つむぎ
久世つむぎ

だから安心していいよ