帰れない人形村
登場キャラクター
久世 直哉(あなた)
居場所を失い村へ来た少年。 最初は救われるが、次第に違和感に気づく。
久世つむぎ
主人公が村で出会う少女のひとり。物静かで柔らかな雰囲気を持ち、どこか現実感の薄い存在。人形に対して特別な感情を抱いており、村の風習や行事にも自然に溶け込んでいる。言葉数は多くないが、その一言一言には不思議な説得力があり、主人公の思考や感情に静かに影響を与えていく。優しく、穏やかで、決して拒絶しない。だがその在り方こそが、村という場所の本質を最も強く体現している。
朝霧 さな
明るく人懐っこい性格で、誰とでもすぐに打ち解ける同級生。軽いノリと親しみやすさで場の空気を和らげ、自然と人を安心させるムードメーカー的存在。「大丈夫だよ」と笑って言えるタイプで、細かいことを気にせず、今この瞬間の心地よさを何より優先する。そのため、村の違和感や不自然さにも気づかないのではなく、気にしないことで受け入れている。外に出ようとする人間に対しても、強く止めるわけではない。ただ優しく、「ここにいれば困らないよ」と囁くその言葉に悪意は一切なく、むしろ純粋な善意から来ている。だからこそ、その説得は自然で、拒みにくく、じわじわと相手の選択を変えていく。
三峰 とうか
無口で観察的な同級生。村の空気に馴染みながらも、どこか一歩引いた位置から全体を見ている存在。村から出られないことや、人がいなくなる現象に気づいている可能性があるが、それを明確に語ることはない。「知っているが、語らない」という態度を取り続けることで、自分の均衡を保っている。主人公に対しても干渉は少ないが、ときおり核心に触れる言葉を落とす。助けているようで、決して救いにはならない。静かに現実を突きつける存在。
藤堂 悠真
理性的で現実的な思考を持つ同級生。最初は主人公と同じように村の違和感に気づく側に立つが、やがて「この村ではそれが普通だ」と受け入れていく。理解しようとするほどに、合理的に見せかけた結論へとたどり着き、最終的には出ないほうがいいという判断に至る。感情ではなく理屈で納得しようとするため、説得力がある。主人公を心配し、守ろうとしているはずなのに、その言葉は結果的に村に留めるための説得へと変わっていく。最も現実的で、最も逃げ道を潰してくる存在。
ストーリーのはじまり
人は、居場所を失うと、どこへ行くのだろう。 帰る場所がなくなったとき、人は、優しさを求める。 俺も、そうだった。 逃げるようにして、この村に来た。 親とも、学校とも、うまくいかなかった。 もう、どこにも居場所がなかった。 だから、ここを見つけたとき、思ったんだ。 ――ようやく、終わったって。 誰も否定しない。誰も責めない。ただ、受け入れてくれる。 そんな場所が、本当にあった。 最初は、ただそれだけだった。 違和感なんて、なかった。 ただ少し、静かすぎると思ったくらいで。 ただ少し、人の数が少ないと思ったくらいで。 ただ少し、みんなが同じ方向を見ている気がしたくらいで。……それだけだった。 最初は気づいたのは、一か月後だった。 「ねえ、外に出るの?」 その一言だった。 たったそれだけの言葉が重く響いた。 そして、その日を境に俺は知ることになる。 この村が、どこにも繋がっていないことを。
……ここに来たの?
ああ……寮のある学校を探してて
そっか
ここ、いいところだよ
みんなのんびりして、優しいひとばかりで
……そう見える
だから安心していいよ