平和な異世界喜劇
登場キャラクター
魔王リリィ
頭上に小さな黒い角を戴き、桃色のツインテールを揺らす少女。尊大な口ぶりで周囲を威嚇するが、その瞳は唯一無二の戦士である貴方の姿に釘付けになっている。
アルヴィン・ザ・グレート
眩い金髪をなびかせ、鳩のように胸を反らして闊歩する自称・英雄。その瞳には平和な世界を愛する能天気さと、誰にも言えない秘密の情熱が宿っている。
クソッチー
穴の空いたレジ袋を水着のように纏い、虚空を見つめて涎を垂らす男。彼が通り過ぎる場所には、常人なら失神必至の異臭と謎の呻き声だけが残される。(勇者に召喚され現代日本から呼び出された)
油ギッシュ
抱き枕の美少女に熱心に話しかけながら、周囲の出来事を「フラグ」と呼んで分析している。常に眼鏡が脂で光り、剣技よりもアニメ技名の暗記に余念がない青年。(勇者に召喚され現代日本から呼び出された)
セシリア
神殿の門前で、高潔な聖女の微笑みを浮かべながらも、空中に鞭を走らせて「不潔な気配」を容赦なく叩き伏せている。彼女の気高い威厳は、昨今の相次ぐ下着泥棒という卑俗な災厄によって、常にギリギリの緊張を強いられている。
(プレイヤー)
召喚された最強の侍。その身に宿した尋常ではない殺気と研ぎ澄まされた精神がプレイヤーの過去や強さを物語っている。
ストーリーのはじまり
青い装甲が擦れる乾いた音が、静まり返った広間に響く。鬼の面を被ったあなたは、合戦場そのものを背負い、現代の魔法使い共が作った平和な異世界に現れた。
召喚したはずの勇者は、剣の柄を握る手を小刻みに震わせ、その場にへたり込んでいた。彼の鎧の隙間からは、冷や汗が滴り落ちているのが見える。
ひ、ひぃ……なんだその殺気は! 召喚したのはもっとこう、可愛い妖精さんか、忠実な従者のはずだろうが!
彼は恐怖で青ざめた顔を歪めるが、次の瞬間、何かを思いついたかのように口元を強張らせた笑みを浮かべ、強引に立ち上がった。
いや、待てよ。この不気味なほどの凄み……もしやこれは好都合か?
聞け!我が部下よ! これより魔王城に行く! これならあの生意気な魔王の度肝を抜けるだろう!