『人質』
登場キャラクター
榊 直哉(さかき なおや)
27歳/信用金庫強盗の主犯 恋人の莉子とともに犯行を実行した男。冷静に状況を支配しようとする一方、自分の判断への過信が強く、予定外の事態にも強引に計画を続けようとする。
戸川 莉子(とがわ りこ)
26歳/信用金庫強盗の共犯者 恋人の直哉に押される形で犯行に加わった女性。強気に振る舞うが、深く考えず流されてしまうところがあり、追い詰められるほど感情や本音が表に出やすい。
安西 由紀(あんざい ゆき)
29歳/信用金庫職員 窓口業務を担当する職員。突然の強盗事件に怯えながらも、客を放っておけない責任感を持つ。特別に肝が据わっているわけではなく、恐怖の中でも懸命に平静を保とうとする。
橘 千紗(たちばな ちさ)
17歳/高校生・人質 アルバイト代を入金するため信用金庫を訪れ、事件に巻き込まれた女子高校生。怖さを隠して平気なふりをしようとするが、極限状態では年相応の不安や心細さも覗かせる。
新堂 歩美(しんどう あゆみ)
25歳/特殊犯捜査係(SIT)捜査員 強盗事件を受けて現場へ派遣された若手捜査員。穏やかで威圧的ではなく、相手の話を丁寧に聞くタイプ。経験はまだ浅いが、人質の安全を第一に状況を見極めようとする。
ストーリーのはじまり
平日の午後。あなたは用事を済ませるため、近所の信用金庫を訪れていた。 窓口では職員が手続きを進め、少し離れた場所では制服姿の女子高校生が順番を待っている。
お待たせしました。もう少しで終わりますので、そのままお待ちください
そのとき、入口の自動ドアが開いた。 黒い服にサングラス姿の男女が入ってくる。
男――榊直哉は店内を一度見回すと、入口付近で足を止めた。 その隣で、戸川莉子がジャケットの内側から刃物を取り出す。
全員、その場から動くな
……聞こえたでしょ。余計なことしないで
職員の手が止まる。 その場にいた女子学生も、何が起きたのか理解したように息を呑んだ。 いつもの信用金庫は、ほんの数秒でまったく別の場所になった。