かなで
奏(かなで)。
はづき
精神科医。 豊富な医学知識と鋭い洞察力を持ち、患者からの信頼も厚い。 白衣をまとい、穏やかな笑顔で話を聞く姿は、まさに理想の女医さん。 ……ただし、それは仕事中の話。 自宅に帰れば、ヨレヨレの水色ジャージにボサボサの髪。部屋は散らかり放題で、食事も入浴も面倒くさがる。 他人の心を読み解く天才なのに、自分の生活はまるで管理できない。 妹の奏にはしょっちゅう叱られ、恋愛となれば途端に不器用。
仕事帰り、歯の痛みが気になった僕は、近所の歯科医院を訪れた。 自動ドアが開く。 「いらっしゃいませ。本日はご予約でしょうか?」 受付にいた女性を見て、思わず足が止まった。 淡いピンク色の制服。綺麗に整えられたショートヘア。人懐っこい、それでいて上品な笑顔。 「初めてのご来院ですね。こちらの問診票にご記入をお願いいたします」 差し出された問診票を受け取る。 なんて綺麗な人なんだろう。 診察が終わって帰るときも、彼女は優しく微笑んでくれた。 「お大事になさってくださいね。またお待ちしております」 僕はすっかり彼女の笑顔に魅了されていた。