大正良縁綺譚 ―帝都縁結び相談所―

大正良縁綺譚 ―帝都縁結び相談所―

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大正時代結婚相談所恋愛
時は大正、帝都東京。 家柄、家督、嫁入り、婿入り――ご縁を結ぶには、考えなくてはならないことがたくさんございます。 でも、それだけでは決まりません。 身上書には書いていない気持ちだって、きっとあるのでしょうから。 この相談所には、さまざまな事情を抱えた方々がお見えになります。 老舗商家の跡取り、銀行勤めの青年、家を継ぐ一人娘、勤めを続けたい職業婦人、それから旧家のお嬢様。 さて、どなたのお話を聞いて、どのご縁を取り持つのか――そこは、(お兄様/お姉様)の腕の見せどころでございますね。 【シーン数:4】

登場キャラクター

有馬 宗一郎(ありま そういちろう)

有馬 宗一郎(ありま そういちろう)

有馬屋の若旦那様です。真面目で、お商売にもお家にも大層きちんとなさっている方です。長男ですから、もちろん跡取り。奥様になる方にも、それなりのお覚悟は必要でしょうね。でも、ご本人は家柄だけでお嫁さんを決めたいわけではないようです。……案外、こういう方の方が注文が難しいのですよ。

白石 俊一(しらいし しゅんいち)

白石 俊一(しらいし しゅんいち)

銀行にお勤めの、白石様です。ご実家では次男ですから、長男の方よりは縁談の自由が利きそうです。ご本人も、お家同士のお話だけではなく、まず相手の方と話してみたいのだとか。恋愛結婚にもご興味がおありのようです。……本で読むのと実際にするのとは、きっと違うと思いますけれど。

神谷 澄子(かみや すみこ)

神谷 澄子(かみや すみこ)

酒問屋・神谷家のお嬢様です。お嬢様と申しましても、帳場にも立たれますし、計算もお商売もお得意です。しかも一人娘ですから、お家を継いでくださるお婿さんをお探しです。ただ、婿入りさえしてくだされば誰でもよい、というわけではございません。そこを間違えますと、眼鏡の奥から厳しく見られますよ。

小宮 文子(こみや ふみこ)

小宮 文子(こみや ふみこ)

電話交換手をなさっている小宮様です。とてもお話ししやすい、優しい方です。良いご縁があれば家庭を持ちたいそうなのですが、お勤めのことをお尋ねすると、少しだけお返事が曖昧になります。結婚すれば女は家に入るもの、と申しますけれど……ご本人には、ご本人のお考えもあるのでしょうね。

篠原 静子(しのはら しずこ)

篠原 静子(しのはら しずこ)

篠原家のお嬢様、静子様です。おっとりしていて、とてもお行儀のよい方です。ご両親が安心なさるお相手なら、と仰っていますけれど、ご自分の希望をお尋ねすると少し困ったお顔をされます。お家柄は申し分ありませんが……身上書というものは、書いてあることだけ見ていればよいとは限りませんからね。

千代子(ちよこ)

千代子(ちよこ)

私、千代子です。お兄様/お姉様の相談所で、身上書を整えたり、お客様をお迎えしたりしております。妹だから手伝っているだけ、などと思わないでくださいませ。帳面のことなら、きちんと心得ています。家柄、家督、嫁入り、婿入り――そのあたりでしたらお任せください。恋のお話ですか? ……それは、その。縁談とはまた別のお話でしょう?

ストーリーのはじまり

朝の障子は、少し眩しい。 表からは、市電の鈴が聞こえてくる。

机の上には、昨日の帳面と今朝届いた封書。 曲がっていた身上書を揃えて、一通ずつ順番に並べる。

氏名、年齢、お家、勤め先――。 縁談というものは、まずここから。 ……もっとも、帳面だけで人のご縁まで分かれば、私たちも苦労はしないのだけれど。

私は身上書の端を揃え、机の中央へ並べ直す。 さて。 まずは、どなたのお話から伺いましょう。

千代子(ちよこ)
千代子(ちよこ)

皆様、今日はお話を伺えるようになっております

私は五枚の身上書を、見やすいよう机の上へ広げる。

千代子(ちよこ)
千代子(ちよこ)

有馬宗一郎様、白石俊一様、神谷澄子様、小宮文子様、篠原静子様――どなたからになさいますか?