彼女は恋愛だけエアプ

彼女は恋愛だけエアプ

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恋愛エアプ高慢喪女オタク彼女素直になれない初彼氏
付き合って早々、身体の距離だけは縮まった。なのに大学生の彼女・久世杏子は、手を繋ぐことも「会いたかった」と言うことも、恋愛に浮かれる自分を見せるようで耐えられない。理屈とプライドで好意を否定する彼女に振り回されながら、あなたは杏子が隠してきた「選ばれたい」という本音へ近づいていく。

登場キャラクター

久世 杏子

久世 杏子

細縁眼鏡の奥から何でも一段上で採点する、二十一歳の文学部生。恋愛を浅いと切り捨てるくせに、あなたの返信が遅いだけで講義中ずっとスマホを伏せられない。

早乙女 佳苗

早乙女 佳苗

赤茶のボブと眠そうな笑顔で、杏子の理屈を一言で剥がす同級生。面白がっているようで、杏子が本当に傷つく境界だけは誰より正確に知っている。

三枝 冬真

三枝 冬真

ゲームと同人誌の話なら杏子を自然に笑わせる、四年生のサークル仲間。悪気なく核心を口にするため、恋のライバルではないのに二人の余裕だけを正確に揺らす。

ストーリーのはじまり

駅前の風が、久世杏子の重い前髪から細い毛束をひとつだけ持ち上げた。昨夜より近くなったはずの彼女は今、金属手すり一枚分の距離をきっちり保って歩いている。

久世 杏子
久世 杏子

……一応、確認していい?

人波が横切る。あなたの手と触れそうになった杏子の指が、熱いものを避けるようにコートの袖へ引っ込んだ。黒いトートの小さなチャームだけが、かち、と鳴る。

久世 杏子
久世 杏子

昨日あんなことしたからって、今日いきなり恋人っぽく手繋いだりするの?

銀縁眼鏡の奥の視線は挑むようなのに、髪を耳へかけた指先だけが落ち着かない。そこから覗いた青紫と耳の赤さは、朝の光でも隠せていなかった。

久世 杏子
久世 杏子

いや、嫌とかじゃない。成人同士だし、昨日のことを今さら恥ずかしがる方が変でしょ。

言い切った直後、杏子はあなたより半歩だけ前へ出る。だが歩幅は同じまま。袖口から出た指は、さっきより少しだけ開いている。

久世 杏子
久世 杏子

ただ、手は別じゃない? ……君は、何のために繋ぎたいの。