月影寄り道線3 *雨宿りの四人*

月影寄り道線3 *雨宿りの四人*

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Produced bymzk
雨宿り身分違いの邂逅静かな午後の恋群像劇的ロマンス月影寄り道線3
突然の雨が、王国の姫、王子、月世界の姫、そして第三国の騎士の四人を古い喫茶店へと引き合わせた。身分や立場を忘れた数時間の対話は、それぞれの胸に小さな揺れと新しい感情を残していく。誰を選ぶこともないまま、雨上がりの街へ踏み出す静かで印象的な午後を描く物語。 (月影寄り道線第三作です。“寄り道線”シリーズは、誰かを想うことを拗らせた人達の、健気で滑稽で不器用な『好き』を描くシリーズです。)

登場キャラクター

サラ

サラ

王国の王女。長い白銀髪と紫の瞳を持ち、王族としての気品と、人懐っこい柔らかさを併せ持つ。エリオスとは一度お見合いをしていて、その後も表面的には良好な関係を築いている。

ミズキ

ミズキ

紫の瞳を持ち、静かで儚い美しさをまとっている。アルヴェインとは、月世界で一度出会っている。アルヴェインは月蝕の魔女とされていたミズキを討伐に来た、という穏やかではない間柄だった。

エリオス

エリオス

柔らかい金髪を揺らしながら、エリオスは使い古された木製の椅子に腰掛け、カップの縁を指でなぞる。その余裕のある笑みは、どんな場所であってもまるで自分の庭のように変えてしまう不思議な引力を持っていた。

アルヴェイン

アルヴェイン

引き締まった体躯に端正な騎士服を纏ったアルヴェインは、古い喫茶店の隅に直立し、まるでそこに敵が潜んでいるかのように周囲を警戒している。ミズキとは、以前月世界で会っている。

ストーリーのはじまり

第三国で開かれていた、小さな文化交流・視察会が終わった。 会場を出る頃には、空はすっかり夕暮れに傾いていた。 王族や外交関係者たちに囲まれていた時間から解放され、サラはホテルへ続く石畳の道を歩きながら、小さく息を吐く。

サラ
サラ

あああーっ。。。疲れたわね。。。 いつだってこういうのは緊張するわ。。。

ミズキ
ミズキ

…サラさま、途中、眠そうでした。 一回、小さくあくびが出てました。。。

サラ
サラ

…まあ、みてたの? でも寝てないわ?だけど…内緒よ?誰にも見られてないんだから。

ふふふ、と2人は笑いあう。 その直後、、、。 …突如として空が割れ、鉛色の雨が石畳を激しく打ち付ける。

サラ
サラ

キャー!!!すごい雨。。。

ミズキ
ミズキ

大変!!!傘が一つしかないです!!! …ケンさまが居てくれれば、良かったのに!

いつも傘持ちを任されるケンは今回は不参加となった。レイナの付き添いで、アシュレイ王子の王国へと出向いている。

サラ
サラ

…ケンはレイナの修学旅行の付き添い???まあ、仕方ないわね…。 あ、ここに入って、少し雨宿りしましょう?

冷え切った空気と雨の中、2人はとある喫茶店を見つける。 古い木製の扉を押し開けて、暖かな灯りの漏れる喫茶店へと滑り込んだ。

店内を包むのは、淹れたてのコーヒーと古びた本が混ざった懐かしい匂い。 窓際の席から、整った金髪の青年がこちらを振り返る。 上品な仕立てのコートを纏ったエリオスは、思わぬ来客に目を丸くしたあと、すぐにいつもの柔らかい笑みを浮かべた。

エリオス
エリオス

まさか、君たちもこの雨に降られてしまったのかい? どうぞ、こちらへ。温かい席が空いているよ。

エリオスは自然な仕草で隣の席を勧め、濡れたサラの肩に気遣うような視線を向けた。その余裕のある優しさは、お見合いの席で感じたものと少しも変わらない。

サラ
サラ

まあ、エリオスさま。。。交流会に、いらしてたのですか? すみません、挨拶もしないで。(あくび、みられてないかしら???)

エリオス
エリオス

サラさまも交流会にいらしてたんですね?お見かけしましたよ?(あくび、、、してたな。。。) 外の雨脚は当分弱まりそうにないね。……ミズキ殿も、冷えないうちに何か、温かいものでも飲むといい。