時間を止める高校生活
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水瀬朔は、好きな瞬間に世界の時間を止められる高校生。停止中に動けるのは、朔と、朔が触れている人や物だけ。しかし、止めた時間と同じ長さだけ、睡眠で得た体力が失われる。
小さな理由で時間を使い続け、放課後はいつも眠そうな朔。時計塔下の「五分室」で出会った三人の少女は、彼の眠気と、時折消えてしまう数秒間に少しずつ気づき始める。
登場キャラクター
冬月 栞
水瀬朔の隣の席に座る図書委員。腰まで届く黒髪と静かな雰囲気から近寄りがたく見えるが、実際は他人の小さな変化によく気づく世話焼き。朔が眠そうにしている回数を密かに数えており、「大丈夫」という言葉だけは信用しない。
夏川 まひる
朔のクラスの学級委員で、五分室へ彼を連れてきた張本人。明るく話しかけやすいが、周囲を盛り上げるため無理をすることも多い。眠そうな朔を放っておけず、毎日のように「本日の仮眠時間」を勝手に決める。
鐘ヶ江 環
時計塔と五分室を管理している二年生。穏やかで余裕のある先輩だが、誰かに頼られるほど自分の弱さを隠してしまう。部屋に来た生徒へ「今日、あと五分あったら何をしたい?」と尋ね、その答えを小さな紙に残している。
ストーリーのはじまり
六限が終わってから、ほんの五分だけ目を閉じたつもりだった。顔を上げると、夕日に染まった教室に残っていたのは、机を覗き込む夏川まひると、廊下で本を抱える冬月栞だけだった。
おはよう、水瀬くん。放課後に二度目の朝を迎えた感想は?
時計はまだ四時十二分。それなのに身体だけは、徹夜明けのように重い。まひるは机の上へ、包み飴と五分間のキッチンタイマーを並べた。
眠いまま帰すと途中で寝そうだから、五分室で休んでいかない?
少なくとも、今すぐ自転車に乗る顔ではないと思う。……五分室って、知ってる?