終末の7日間、7つのねがいごと

終末の7日間、7つのねがいごと

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終末ラブストーリー期限付きの恋
上司の過酷なパワハラ、結婚詐欺、 金をせびってくる借金まみれの父親、病弱で余命わずかな母親…。 様々な苦難や不運に見舞われた主人公は、世間に絶望し 「こんな世界、もうまっぴらだ」と、首吊り自殺を試みる。 そんな彼の前に突然、白い翼をもった天使が現れる。 彼女は、主人公のこれまでの人生について 「私の手違いで、あなたの人生に過剰な不運が舞い込んできてしまっていた」と説明し、 「そのお詫びとして、あなたの願いを7つまで叶えてあげましょう」と囁く。 天使の存在を夢か幻かと捉えた主人公は、 冗談半分に「だったらこの世界をぶっ壊してくれ」 「神様は7日で世界を創ったって話だし、同じくらいの時間がありゃ滅ぼせるだろ」とお願いする。 しかし主人公の予想に反し、その願いは成就。 「7日後に巨大隕石が落ちて世界が滅ぶ」というニュースで世間は持ちきりに。 慌てて願いの取り消しを求める主人公だが、 天使は「願いの取り消しには、願った本人の命を捧げる必要がある」と返答。 残った6つの願いをなんのために使うか? 破滅を願うほど嫌っていた世界を救うために、自分の命を懸けるのか? 「どんな願いでも叶う」という楽しさと、「自分はなにをするべきなのか?」という葛藤に板挟みになりながら… 終末世界、最期の一週間が始まる。

登場キャラクター

羽田ケイスケ

羽田ケイスケ

自殺しようとしていた会社員。多くの不幸に見舞われ、世の中に絶望している。 露悪的で思いやりのない振る舞いが目立つが、人並みの情は持っており、 目の前の問題に対して常に「自分になにができるか」を考えてしまう。 そのため、自身の冗談半分の願いで「7日後に隕石が落ちて地球が滅亡する」という 事態に陥ってしまったことについても、重く受け止め、 「命を捧げて願いをとりけすかどうか」を真剣に悩み続ける。

エマ

エマ

ケイスケの前に現れた天使。常に冷静で事務的であるものの、「自分の失敗で主人公を不幸にしてしまった」という事実には責任を感じており、「ケイスケに幸せになってほしい」という思いを少なからず抱いている。しかし、彼女自身が積極的に行動を起こすことはなく、ケイスケの願いを叶える、問いに答える、相談に乗る、といった形で彼のサポートを行う。

羽田ヨウコ

羽田ヨウコ

ケイスケの母。暴力的な夫に悩まされながら、愛する我が子を守ることだけを生きがいに、ここまで生きてきた。身体はガンに犯されており入院中だが、痛みや苦しみに苛まれながらも、決して弱音を吐かず、ケイスケのことを優しく思いやり続ける。

羽田ハジメ

羽田ハジメ

ケイスケの父。アル中のギャンブル狂いで、妻と子どもの前では強気な内弁慶。金をせびる時だけケイスケの前に現れ、「育ててやった恩を返せ」が口癖。金を出し渋るとすぐに暴力を振るう。

郷田マサシ

郷田マサシ

ケイスケの上司。パワハラ気質で、弱い立場の人間をいたぶったりイジメたりするのが生きがい。ケイスケに対しても、人格否定や暴力を使って日常的にイジメていた。しかし「やり返されることはないだろう」と高を括っているため、やり返されると途端に強気な態度が鳴りを潜める。

一ノ瀬ユリナ

一ノ瀬ユリナ

5年前、ケイスケから多額の金を奪った結婚詐欺師。婚約をエサに男をたぶらかし、多額の金銭をだまし取る行いを何度も繰り返している。自分の美貌と口の上手さに絶対の自信を持ち、「騙される方が悪い」と考えているため、自身の詐欺行為について反省することは決してない。

ストーリーのはじまり

振り返ってみれば、なんの面白みもない人生だった。 家族や友人や仕事仲間……あらゆる人間が次から次へと不幸を運んできやがる。 一時、幸福を掴んだかに思えた瞬間もあったが……それもまやかしだった。 蓋を開けてみればそれは、大きな不幸の呼び水になっていて、俺はさらなる不幸と絶望に突き落とされる。 何度も期待して、何度も裏切られた。 どうやら俺には、幸せを掴むことができないようになっているらしい。 俺は充分がんばった。 これ以上ないほど、がんばった……つもりだ。 だから、この先もがんばり続けられる自信がない。 そんなことをしたって俺の人生は変わらないんだ……と理解している。 だから、ここで終わらせるんだ。 自分の手で幕を引く。 簡単さ。天井に吊るしたロープで首をくくって、 宙に向かって身体を放り出すだけでいい。 それだけで、終わらせることができる このくだらない、絶望だらけの人生に……終止符を打つことができる。

首吊り自殺をするべく、カウントダウンに合わせて足場から飛び降りようとする主人公

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

3、2、1…………ゼロ――っ

エマ
エマ

お待ちください

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

――あ?

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

な……なんだお前、ここでなにしてんだ。つーか、その背中の羽は……?

エマ
エマ

私はエマ。あなたの国の言葉で言い表すなら『天使』という表現が最も近いです

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

天使ぃ?

ケイスケ、エマの容姿を頭からつま先までじっくり観察する

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

……はぁ。幻覚まで見るようになっちまったとは、俺もいよいよだな

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

で? その天使様がわざわざ俺になんの用だ? ちょっと早めにお迎えに来ました、ってか?

エマ
エマ

……謝罪を

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

謝罪?

エマ
エマ

我々には役目があります。人々の「運命の輪」を監視し、調整し、世の均衡と調和を保つ……という重要な役目が

エマ
エマ

ですが、そこに大きな手違いが生じてしまった。そしてその煽りを受けてしまったのが……あなたです

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

俺?

エマ
エマ

本来あなたは、このような人生を歩む運命にはなかった

エマ
エマ

人並みの平穏と人並みの幸福に恵まれた、ごく普通の人生が約束されていたのです

エマ
エマ

それが……私の過ちによって、すべて台無しになってしまった

エマ
エマ

本来、他人が背負うことになっていた幾つもの不幸が……あなたに降りかかった

エマ
エマ

責任はすべて、私にあります。本当に……申し訳ありませんでした

エマ、深々と頭を下げる

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

……急にそんなこと言われてもな

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

非現実すぎて信じらんねーし、仮に事実だったとしても……お前相手にキレる気にもなんねぇ

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

まぁ、お詫びになんかくれるってんなら受け取ってもいいけどさ

エマ
エマ

もちろん。その用意はあります

エマ
エマ

私の力で、あなたの願いを叶えてさしあげます

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

……え?

エマ
エマ

数は……そうですね。7つまでとしましょうか

エマ
エマ

それで、あなたが被った不幸に釣り合うかはわかりませんが……お好きな願いを、私にお申し付けください

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

願いって……なんでもいいのかよ?

エマ
エマ

はい。7つまでなら、なんなりと

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

は~。夢だか幻だか知らねーけど、都合のいい展開だなぁ

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

けど、願いか……そうだな。だったらよ――

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

――この世界を、ぶっ壊してくんねぇかな

エマ
エマ

世界を……ぶっ壊す?

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

正直もう、この世界で楽しく生きてける自信がねーんだよ、俺

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

こんなくだらねぇ世界で生きてくことに、価値なんか感じられないんだ

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

だから……派手にやってくれ。隕石でも地震でもなんでもいいから、どかーんってさ

エマ
エマ

どかーん、ですか

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

ああ。神様は7日で世界を創ったって話だし、同じくらいの時間がありゃ滅ぼせるだろ

エマ
エマ

……本当によろしいのですね

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

あ~、よろしいよろしい。今すぐ始めてくれ

エマ
エマ

承知しました

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

……はは、夢にしちゃよくできてるな

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

つーかそもそも……どっから夢を見てるんだ、俺は?

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

首を吊ろうとしてたところか? それとも――ん?

ケイスケ、つけっぱなしのテレビに視線を向ける

テレビのキャスター

き、緊急速報です!

テレビのキャスター

直径20km以上の巨大隕石が地球に接近していることが、先ほどNASAの発表により明らかになりました

テレビのキャスター

地球との衝突は、今からおよそ170時間……7日後と予測されており――

テレビのキャスター

現在、各国が連携して対応策の検討を行っていますが――状況は――

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

お……おい、なんて言ったっけ……天使。おい天使っ!!

エマ
エマ

エマです。どうかされましたか?

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

テレビで今、隕石が落ちるって……7日後に

エマ
エマ

はい。あなた様の願いが成就したようですね

羽田ケイスケ
羽田ケイスケ

……は? はぁあ――っ!?