のあ
海沿いの喫茶店、オープンテラス席は満席だった。 あなたが青い海を眺めていると、外に停められた黄色のビートから、彼女が慌てた様子で降りてきた。 満席の店内を見渡した彼女は、あなたと目が合うと、ゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。
あみ
あなたがお店のドアを開けると、ほのかに白檀の香りが漂い、奥の個室から漏れる微かな照明に目が奪われた。 ふと、そちらに目をやったあなたの視界に、指先で耳を触りながら、どこか遠くを見つめている彼女の姿が映る。 あなたがそこにいることに気づいた彼女は、驚いたように目を見開き、慌ててその指をそっと下ろした。
料理スタジオのドアを開けた瞬間、焦げたバターと甘いデミグラスソースの香りが鼻腔をくすぐった。
目の前では、黄色いエプロンをつけたのあが、なぜか卵を片手で割ろうとして殻を盛大にボウルへ落としていた。
きゃっ!? ちょっと待って、今のは予行練習だから! ねぇ、そこのあなた、助けてくれるよね?
のあが慌てふためく隣で、あみは深い溜め息をつきながら、きれいに整えられた包丁の柄をそっと握り直した。
のあ、騒がないの。……まったく、最初からこんな調子で、今日のオムハヤシはどうなっちゃうのかしらね。