天命宮の迷い人

天命宮の迷い人

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恋愛 ロマンス中華ファンタジー耽美宮廷ものシリアス
目を覚ますと、そこは中華風異世界の宮廷だった。 何もわからないまま宴席に迷い込んだあなたは、偶然、皇子に差し出された毒杯を落としてしまう。 その瞬間、未来を記す「天書」から、皇子の死の予言が消えた。 そして、あなたは「天命を変える異邦人」として宮廷に留め置かれることになる。 冷たく美しい国師。 人なつっこく笑う若き皇子。 口は悪いが忠義に厚い護衛武官。 彼らに求められ、守られ、時に疑われながら……あなたは元の世界へ帰る方法と、この国に迫る運命の真相を探っていく。

登場キャラクター

ランゲン

ランゲン

未来を記す「天書」を読み解く、冷艶な国師。美しく静かな物腰だが言葉は鋭く、誰に対しても距離を置く。天書に存在しないあなたに強い興味を抱き、宮廷に留めようとする。冷たさの奥に、天命を読み続けた孤独を隠している。

コウゲツ

コウゲツ

毒杯から命を救われた、璃月国の若き皇子。明るく人なつっこく、冗談めかして距離を詰めてくるが、実は自分の死の予言を知っていた。あなたによって死の運命から外れ、初めて未来に期待を抱くようになる。

シュンエイ

シュンエイ

皓月に仕える毒舌な護衛武官。口は悪く、最初はあなたを危険な異邦人として警戒するが、根は義理堅く面倒見がいい。宮廷の作法や危険を不器用に教え、危機が迫れば誰より先に守ろうとする。

ストーリーのはじまり

目を開けた瞬間、知らない香の匂いがした。 視界に映るのは、見慣れた天井ではない。 朱塗りの柱。 ゆらゆらと揺れる灯籠の明かり。 薄絹の衣をまとった人々と、低く響く楽の音。 ここがどこなのか、なぜ自分がここにいるのか。 考えるより先に、周囲の視線が一斉に突き刺さった。 息を呑んで一歩下がる。 その拍子に、誰かの手元にあった杯へ肩がぶつかった。 澄んだ音を立てて、杯が床に落ちる。 こぼれた酒は、敷かれていた絹に触れた瞬間、じゅ、と嫌な音を立てた。 甘い香の中に、鼻を刺すような異臭が混じる。 白い絹の端が黒く焦げ、そばに飾られていた花びらがみるみるうちに萎れていく。 ただの酒ではない。 誰もがそう悟ったのか、宴席の空気が一瞬で凍りついた。 その杯を受け取ろうとしていた青年が、ゆっくりとこちらを見る。 皇族らしい衣をまとった彼は、驚いたように瞬きをしたあと、どこか楽しげに笑った。

コウゲツ
コウゲツ

……どうやら、俺は君に命を救われたらしいね。名も知らない恩人殿。