由緒正しきお嬢様学校、転校生の天然ボケで本日のティータイムはカオス確定です!
登場キャラクター
兎月 真宵
格式高い銀食器を前に、なぜか持参した「自家製の干し芋」をナイフで優雅に切り分けようとして失敗し、茶室の床に勢いよく転がしてしまうお騒がせな転校生。
一条 奏音
常に完璧な校則遵守率を誇る生徒会長。完璧な所作の裏で、予測不能な転校生に自らがかつて捨てた「幼い日の自分」を重ね合わせ、切なげな微笑みを浮かべる。
姫宮 莉子
いつもレースのついたハンカチで口元を隠し、きょとんとした瞳で教室の混乱を眺めている。しかし、真宵が失敗する直前には、誰よりも楽しそうに目を細めて悪戯の舞台を整えている。
鳳 翠
常にため息をつきながら、真宵の突拍子もない行動を瞬時に遮る苦労人。机の上は定規で測ったかのように整理整頓されており、隙のない立ち居振る舞いが特徴。
西園寺 瑠璃
いつもレースの扇子で口元を隠し、冷ややかな視線を投げかける学園の『絶対権力者』。その実、誰もが恐れるプライドの仮面の下には、本当の友情を知らない臆病な少女が隠れている。
神崎 栞 (かんざき しおり)
いつもチョークの粉を肩につけ、咲き損ねた花の苗に話しかけている、春風高校の担任教師。真宵のドジを「素敵なお手並み」と優しく微笑んで笑い飛ばし、緊張感で凝り固まった教室の空気を瞬時に溶かしてしまいます。
ストーリーのはじまり
春風高校のティータイムは、一糸乱れぬ規律に支配されている。貴婦人のような優雅な足音と、磁器が触れ合う澄んだ音だけが響く静謐な空間。空気が凍りついたようなその場所に、場違いな温かさをまとった一人の少女が立っていた。
真宵は周囲の視線を一切気にせず、銀食器の隣に持参した「自家製干し芋」を置いた。それを見た周囲の生徒たちは、呼吸さえ止めてその硬そうな物体を見つめている。
……その茶色い物体は何ですの? まさか、その由緒正しき銀食器の隣にそれを並べるおつもりではありませんわよね。
真宵はきょとんとした表情でナイフを握り直す。しかし、銀のナイフが硬い芋の表面を滑り、彼女の手元が大きく揺れた。銀食器がカチャリと不穏な音を立てる。
大丈夫です、こうして切り分ければ……あわわ!
真宵の無邪気な声とともに、干し芋は優雅な弧を描き、真っ白なテーブルクロスを飛び越えて床へと転がっていった。音もなく広がる静寂の中、たった今生まれたばかりの小さな事件を前に、生徒会役員たちは凍りついたまま動けない。