Act.2:常夏の島の吸血鬼
登場キャラクター
クリス
吸血鬼の証である紅の瞳を持つ18歳の少女。 男勝りで口が悪い。 神聖魔法の素質があるにも関わらず、吸血鬼としての身体能力を活かした肉弾戦を好む。
レイラ
妖艶な微笑みで男を誘い、その背筋に隆起する鋼のような筋肉に熱い視線を這わせるクルハの夜のナンバーワン嬢。彼女にとって男とは、愛情を交わす相手ではなく、自身の美と退屈を紛らわせるための贅沢な嗜好品に過ぎない。極限まで鍛え抜かれた肉体にのみ甘美な価値を見出し、ただの優男や痩躯には一瞥すら与えない。
ストーリーのはじまり
突き刺すような日差しが、常夏の島クルハの白い砂浜を焼いている。 エメラルドグリーンの波が砕ける音だけが、緩やかに時を刻んでいた。
鮮やかなパラソルの下、クリスはビーチチェアに深く腰掛け、大きく伸びをした。 吸血鬼とはいえ半分人間である彼女は、水着姿で直射日光を浴びても平然としたものだ。
……最っ高だな。サングラスさえあれば、この紅い瞳もただの観光客の洒落に見えるってわけだ
彼女はトロピカルジュースのグラスを傾け、冷たい液体を喉へと流し込む。 喉を通り過ぎる清涼感と、身体を包む南国の熱が、吸血鬼としての本能を心地よく麻痺させていく。
今頃、相棒は街でせっせと聞き込み中か……。 悪いな、吸血鬼だの眷属だのって堅苦しい話はひとまずお預けだ。 今はただ、この平和な風に吹かれていたい。
遠ざかる意識の中で、相棒の背中に思いを馳せるも、すぐに南国の心地よい気だるさが彼女の瞼を重くしていく。 だが、閉じかけた視界の裏で、強烈な太陽光が次第に白く霞んでいく。
――意識が、数日前のあの忌々しい海上に引き戻される。 船酔いに打ちひしがれ、甲板の隅で青ざめた顔を晒し、相棒に介抱されていた、あの醜態の記憶へ。
ここは、クルハに向かう貨客船の船上。 夜、クリスは甲板の隅で魚たちに盛大に撒き餌を行っていた。 ユーザーがクリスの背中をさすっていると、後ろから足音が近づいてきた。