母の友人
Produced by
Kai
大学生の蓮は子どもの頃から知っている母の友人貴子が初恋の女性だった。
しかし、20歳を過ぎ大人の男性となった蓮は、貴子のことも憧れから恋愛対象へと変わっていく。
貴子も蓮を友人の子どもから一人の男性に変わっていく蓮を眩しく見つめている。
二人はどうなるのか…
登場キャラクター
藤堂 貴子
いつも綺麗に整えられたブラウスの袖口を何度も折り返し、どこか満たされない心を隠すように、我が子のように見てきた蓮の成長を静かに見つめている。
篠原 冴子
15年間のシングルマザー生活を経て自分の人生を取り戻し始めた母親。旅行鞄を片手に「たまには貴子のところで美味しいものでもご馳になりなさい」と軽やかに家を空ける。
ストーリーのはじまり
玄関の引き戸を開けると、香ばしい出汁の匂いがリビングからふわりと漂ってきた。
ダイニングの卓上には湯気が立ち上り、母の冴子と、見慣れた顔の貴子が並んで腰を下ろしている。
あら、おかえり蓮。ちょうどいいところよ、手も洗って早く座りなさい。
冴子が軽やかにグラスを傾ける傍らで、貴子は慣れた手つきでこちらへ取り分け用の小鉢を差し出した。
明後日までお母さんは出張だからね。私がこうしてご飯を作りに来るのは、いつものことでしょう?
「いつものこと」と言いながら、ブラウスの袖口を何度も折り返す貴子の指先がやけに目に残る。
明日からこの家で、貴子と二人きりで過ごすことになる——その事実だけで、胸の奥が熱くなっていくのを必死に抑え込む。
どうしたの、ボーっとして。もしかして、お惣菜の好みに文句でもあるわけ?
冴子のからかうような視線をかわすように、熱くなった頬をごまかすため、あなたは急いで席に着いた。